「なぜ同じことを何度も言わせるのか?」
という憤りを感じていたり、感じさせてしまって申し訳ないと思っていたり、ということはないですか?
ここでは、「コミュニケーションの成果」について考えていきたいと思います。
コミュニケーションの成果
「コミュニケーションの成果は、何を言ったかではなく、何が伝わったかだ。」
という言葉を聞かれたことはありますか?
聞かれたことがなかったとしても、言っていることは分かっていただけるのではと思います。
それなのに、冒頭の「なぜ同じことを何度も言わせるのか?」ということになってしまうのでしょう。
ここで、たとえ話をしてみたいと思います。
パソコンにキーボードに喩えてみる。
しばらく当たり前のことを書きますからね。
パソコンのキーボードを思い浮かべてください。
パソコンで、キーボードの ‘a’ のキーを押すと、ディスプレイに ‘a’ の文字が表示されます。
‘b’ のキーを押すと、’b’ の文字が表示されます。
逆にいうと、’a’ の文字をディスプレイに表示したければ、’a’ のキーを押せ。
‘b’ の文字をディスプレイに表示さたければ、’b’ のキーを押せ。
ということになります。
‘a’ のキーを押しても、’b’ の文字は表示されません。
‘b’ の文字を表示したければ、’a’ のキーではなく、’b’ のキーを押すことです。
当たり前すぎますよね。
あなたのアドバイスは?
では、あなたの目の前に、’a’ の文字を表示させたいのに、’b’ のキーを押している人がいます。
- 「何度押しても、’a’ の文字が表示されないんです。」
- 「押す力が足りないんですかね。もっと強く押してみますね。」
- 「押す回数が足りないんですかね。もっとたくさん押してみますね。」
と言いながら、’b’ のキーを繰り返し押しているのです。
そんな人に対して、あなたならどんなアドバイスをしますか?
「 ‘a’ の文字を表示したければ、’a’ のキーを押してください。」
とアドバイスするのではないでしょうか。
実社会ではどうする?
実社会では、これが ‘a’ のキー、こっちが ‘b’ のキーとはどこにも書いていません。
キー表面に文字が書いていないキーボードのようなものです。
しかも、キーは無数に存在しています。
そんな中、’a’ の文字を表示させようと思ったら、あなたならどうしますか?
どのキーを押したら良いか分からないから、どのキーも押さずに悩んでいますか?
どのキーも押さなければ何も表示されないので、何かしらのキーを押しますよね。
それでもし、’a’ ではない文字が表示されたらどうしますか?
「ん〜、’a’ の文字が表示されないなぁ。」
と悩みますか?
それより、先ほどとは別のキーを押してみますよね。
何度違う文字が表示されようが、’a’ の文字が表されるまで、いろんなキーを押してみることと思います。
‘a’ の文字が表示されないキーを何度押しても、’a’ の文字が表示されることはありませんから。
コミュニケーションの場面では
コミュニケーションの場面で、
「何度も同じことを言っているのに、分かってくれない。」
のは、分かってもらえないこと(言い方)をしているからです。
分かってもらえないこと(言い方)を何度繰り返してみても、分かってもらえないものは分かってもらえないのです。
「 ‘a’ の文字を表示したければ、’a’ のキーを押してください。」
とアドバイスしたあなたならば、
「分かってもらいたいなら、分かるような言い方をしてください。」
というアドバイスをするのではないでしょうか。
まとめ
「なぜ同じことを何度も言わせるのか?」
と憤る前に、
「どんな言い方をすれば、分かってもらえるかな?」
と考えて、工夫をして、いろいろな伝え方を試してみてください。
もしかしたら相手は、
「なぜ分からない言い方を何度も繰り返すんだ。」
と思っているけれど、立場上言えないだけなのかもしれないのですから。