私が、総合電機メーカーのエンジニアだった時代のことです。
当時私は、運送会社向けのシステムの企画・開発に携わっていました。
協力くださる運送会社を見つけ、開発したシステムの運用試験をさせてもらうことになりました。
運用試験をその会社の配送倉庫でさせてもらっていたときの話です。
スーツ族
私たちの開発チームは、トラックの待機スペース(駐車場)の片隅をお借りして、プレハブ小屋を設け、その中で作業をしていました。
私は最初、スーツを着て現場に入っていました。
トラック運転手のおやっさん達は、私のことを
- 身構えて
- 遠巻きに
- 煙たそうに
見ていました。
おやっさん達からすると、私は
「スーツ族の人」=敵(やっかいな相手)
という認識になってしまったのです。
これはまずい。
私は、そんなおやっさん達に、システムの運用試験への協力をお願いする立場でした。
「これではまずい。」
と思い、翌日から作業服を着て現場に入り、おやっさん達に声を掛けるようにしました。
作業服を着て現場に入るようになってから、私はおやっさん達に「仲間」として認識してもらえるようになったのです。
最終的には、
- 毎朝わざわざプレハブ小屋に入ってきて、挨拶をしてくれるようになったおやっさん。
- 缶コーヒーを差し入れしてくれるようになったおやっさん。
が現れるほど親しくしてもらえるようになりました。
まとめ
この事例では、おやっさん達にとって、私の服装が
- 敵なのか
- 味方なのか
を見極めるのに大きな要因になっていたということです。
言い換えると、私は服装でのミラーリングに成功したということになります。
想像してみてください。
あなたは、スーツ姿が基本のオフィスで働いているとします。
そのオフィスに、一人だけアロハシャツにビーチサンダル姿の人が入って来たら?
その人が、周りから浮いてしまうというのは想像に難くないと思います。
オフィスの中では、みんながスーツ姿でいるという同調を自然としているということなのです。